皆様が過去撮影した貴重なモノクロフィルムは経年劣化によるダメージ、ビネガーシンドロームやカーリングの現象が起きていませんか?
鉄道写真家 日本写真家協会会員 諸河 久 (もろかわ ひさし)
1947年、東京生まれ。雑誌「鉄道ファン」スタッフカメラマンを経て、フリーカメラマンに転向。多くの著作物や雑誌等への寄稿がある。1960年代から主に日本各地の路面電車や地方の私鉄を撮影。当時は高価でまだ普及が進んでいなかったカラーポジフィルムを用いた、貴重な記録写真を数多く残している。
過去の貴重なシーンが写っている大切なモノクロフィルムですが、カビ、疵など経年劣化によるダメージに加えて、ビネガーシンドロームと呼ばれている化学的劣化による溶解、カーリングの現象が起きていませんか?
ビネガーシンドロームによりカーリングしたネガフィルム
ご自身の秀逸な鉄道写真を後世に残すために、フィルムのデジタルデータ化を今のうちにやっておきましょう。貴重な作品がビネガーシンドロームに罹って、再現不能になってしまう恐れがあります。フィルムの状態が良好な今のうちに、デジタルデータ化されることをお勧めします。
フィルムのデータ化には、市販の汎用スキャナーを使うことになりますが、35mm判から中判をカバーする透過光式のフィルムスキャナーは姿を消して、現状ではフラッドベッド方式のスキャナーしか入手できません。いずれにしてもパソコン環境が整っていないと、フィルムデータ化への一歩は踏み出せないことになります。
長い間保管されていたフィルムの中から、データ化する作品を選ぶのも楽しみの一つです。たとえば、年度別にベスト10作品を選抜。10年分でベスト100作品をデータソースにしてデータ化を始める。蒸機、電機、電車など車種別にそれぞれ10作品を選抜してデータ化を始める…などが考えられます。
現像時に気泡ムラを作ってしまった作品を汎用スキャナーでデータ化
加工ソフトのPhotoshopの修正ツールにより、半世紀ぶりに蘇った画像
尾小屋鉄道DC122牽引の上り通勤列車 大杉谷口駅付近 1964.12.30
※2 解像度72dpi 長辺1000pixel の画像
「諸河流デジタルリマスター術」により、モノクロネガフィルムからリマスターされたデジタル画像です。古き佳き鉄道情景をお楽しみください。
阪急P-6系 京都線・南茨木付近 1971.11.23
東武3210系 伊勢崎線・春日部付近 1965.2.10
御殿場線を驀進する D52牽引の下り旅客列車
谷峨~駿河小山 1966.7.14
川越線 9600の牽く上り通勤列車
南古谷~指扇 1969.5.26
高崎線 EF58牽引の上り旅客列車
尾久~上野 1977.5.20
晩年は北陸本線・米原~田村間で交直流接続に稼動したDD50
米原駅 1968.10.2
北陸本線 ED70牽引の下り旅客列車
福井駅 1968.10.2
東海道本線 EF65Pが牽引する上り「はやぶさ」
湯河原~真鶴 1972.3.16
京浜急行 デハ230系 新町駅 1965.3.18
京阪・坂本線 30系 浜大津駅 1965.3.28
常総筑波鉄道(現・関東鉄道)
常総線 キハ41000 水海道駅 1965.1.4